デジタルサービス商品開発でのUX/UIデザイン活動の裏側をお見せします!

2026/03/31


2024年11月にリリースされた「RICOH カンタンIT資産管理サービス」。その UX/UI デザインに携わってきた 2 人のデザイナーが、リリースまでの道のりを振り返ります。


RICOH カンタンIT資産管理サービス」はリコーが提供する、PC・スマートフォン・SaaS などの IT 資産を従業員ごとに紐づけて一元管理できるクラウドサービスです。
情報システムの専任者がいない企業でも扱いやすいように、デバイス管理・アカウント管理・更新管理をまとめて操作できることが特長です。特に、IT やソフトウェアの使い方に慣れていない人でも簡単・スムーズに使える UX を大切にデザインしました。

RICOH カンタンIT資産管理サービスのホームページ画像

デザイナーの皆越
皆越 涼馨 みなこし すずか

入社3年目 UX/UIデザイナー

デザイナーの石榑さん
石榑 華那子 いしぐれ かなこ

入社9年目 UX/UIデザイナー・プロダクトデザイナー

最初はリサーチと探索から
会話している石榑さん(デザイナー)

皆越:このサービスの開発にデザインが参画したのは 2023 年からですね。その頃はサービス開発が立ち上がったばかりで、ターゲットや方向性を探っている段階でした。

石榑:そうそう。お客さまのどんな課題を解決するのか、どういう方向に進めればいいのかもまだ仮説だったね。だからまず、ヒアリングした内容を全部整理して、お客さまの業務フローをつくるところから始めました。「誰がどんなことに困っているのか」「リコーがどう役に立てるのか」を言葉と図で可視化すると、チーム全体が同じ前提で話せるようになっていったね。
 
皆越:懐かしいです。私はそのフロー作成や業務可視化・カスタマージャーニー(顧客の行動の流れ)作成の支援から入って、“業務のどこで迷うのか”を一緒に整理していくのが最初の仕事でした。大学で学んだリサーチの手法が本当に実際の仕事でも使うんだと、ちょっと感動したのをよく覚えています。でも実際にやってみると、大学で学んでいた時のように綺麗な結論が出るとも限らないんだなぁということも実感して、すごく勉強になりました。
 
石榑:そうだよね。実際の現場は仮説通りにはなかなかいかないし、この時もそうだった。だからこそ PoC(小規模プロトでの実証)の段階から実際のお客さまに触っていただくことでリアルな反応をもらえて、仮説を直しながら進めることができたのはすごくよかったね。仮説検証を何度も行って、ペルソナも修正していったからこそ、明確な方針が定まっていけたなと思う。

デジタルサービス開発ならではのスピード感
従来のウォーターフォール型の開発とアジャイル開発の図解

石榑:アジャイル(短期間で計画〜テストを繰り返す開発方式)を採用していることがこのサービス開発の特徴で、毎週計画・レビューがあって、特に UI を作成するフェーズでは、手早くデザイン案を作成することと素早い意思決定が求められていたね。細かいサイクルで日々開発が進む中で仕様も変化していくから、情報の鮮度を保つこともすごく意識してた。

皆越:そうですね、変化する複雑な仕様を理解するのに時間がかかってしまう場面も多かったです。それもあって、綺麗なデザインを時間をかけて作り込むのも大切ですが、まずは簡単でもいいから形にして見てもらうと関係者の理解が進むことに気づきました。そのほうが会議中に「じゃあこうしよう」と話しながら、すぐにデザインを直せましたね。
 
石榑:うん、私はプロダクトデザインもやっているけど、リコーの中でもこのスピード感はデジタルサービス開発ならではだなって思った。私はこの製品開発と並行してデジタルサービス全体の将来構想についての検討や提案も行っていたけど、そういった活動でもやっぱりデザイナーの持つ可視化力は大きな強みで、頭の中で考えていることを見えるようにすることで、非常に素早く意見交換が進められました。

UIの方向性を固めるワークショップ
実際に作成したUI

石榑:UI 作成フェーズに入る前、皆越さんにサービスの印象を決めるワークショップを開発チームでしてもらいましたよね。それがあって方向性を共有できていたから、UI 作成がスムーズに進められたよね。

皆越:はい。関係部署の方々に参加していただいて、どんな印象のサービスにしたいかを一緒に考えました。「カンタン」がテーマでもあったので、「やわらかさ」「親しみやすさ」「あたたかみ」といった方向性に絞り、そこからイメージカラーを検討して、最終的に淡いピンクや紫に近いカラーに決めました。BtoB のサービスでは珍しい色だったので心配もありましたが、社内外の資料や製品紹介ページなど、結果的にいろんな場面で使われるようになって、このサービスのイメージとして定着してきたと感じます。

石榑:それと見た目だけじゃなくて、情報の見せ方や文言をそろえていくことも親しみやすさにもつながっていったと思う。そういった細かいことの積み重ねが関係者との信頼にもつながって、どんどんデザイン提案もしやすくなったね。

皆越:そうですね。「使いやすい」という声をいただくと、地道に直してきてよかったなと思います。

2年間を経て:デジタルサービスで活躍するUIデザイナーとして
デザイナーが机に横並びで会話している様子

皆越:今年度からは、石榑さんからバトンを引き継いで、私と 1 年目の後輩で改善を進めています。立ち上げから関わってきた 2 年間を振り返ると、どう感じますか?

石榑:最初は本当に手探りでしたね。思ったように進まないことも多かったけど、できるところから提案して、開発チームと一緒に形にしていくうちに、関係部署の方から気軽にデザインメンバーに相談してもらえるようになったのがすごく嬉しかった。
チームメンバーが UI の色や雰囲気などに愛着を持って、積極的に社内外の資料に使ってくれたりして、デザインが共通言語としてチームに根付いている状態になったことにも達成感を感じています。

皆越:そうですね。デザインについて気軽に話してもらえるようになったのは私も感じています。定例ミーティングでも細かな文言や動きの話まで一緒に考えてくれる方が増えてきて、チーム全体でサービスを良くしていこうとしている空気があります。
私自身の話になりますが、このサービス開発の中で悩むことも多かったです。大学で学んだリサーチの知識は役に立つんですけど、実際の現場ではお客さまの状況や開発の都合、スケジュールなど、いろんな条件が重なって判断が難しくなる場面がありました。そういうときに、関係者の方と相談しながら調整して進められた経験は、自分にとって大きな学びになったと思います。


記事の執筆者である皆越

皆越 涼馨

主にデジタルサービスのUX/UIデザインを担当

趣味はドーナツを食べること

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