2026/03/03
Bind Feederはエトリア株式会社が開発・販売を行い、グループ企業の製品としてリコーがデザインを担当した製品です。 リコーデザインにとって初めての分野の機器であったため、企画部門と協力し、実際に使用されるお客様の現場環境や作業の実態を丁寧に調査しながら進めました。 その結果、本製品は2025年度のグッドデザイン賞をいただくことができました。 この記事ではデザインのこだわりについてご紹介します。



高齢者の安全な服薬のために
介護施設などにいる高齢者の方々は数種類の薬を毎日毎食後などに服用していることが多く、飲み忘れを防ぐため、服薬前にそれぞれの方の薬をまとめる作業が行われます。 この作業は介護施設の方が行っていましたが、昨今は薬を納品する調剤薬局がサービスとして請け負うようになってきています。
薬をまとめる作業は、数種類の薬包を一回分ごとに手作業でステープル綴じするやり方が一般的です。 ただ、この方法では薬を飲むときの針を外す作業で薬包が破れて薬が飛散したり、針が薬に入り誤飲するなどの心配がありました。 エトリアではこういった問題を解決し安全な服薬を行ってもらえるよう、リコーの複合機の開発で培ってきた技術を活かした、針無しの薬包綴じ機を開発することにしました。

奥行き200mmに納める
薬包綴じ機は既に複数社で発売されていましたが、エトリアが開発する上では他社製品の改善に留まることなく、改めて調剤薬局ユーザーの使いやすさの実現にこだわりました。
調剤薬局の環境を調べてみると、かなり手狭なところが多く、いろいろな作業を調剤棚前の奥行きの狭い天板スペースで行っているケースが多く見られました。
この調剤棚前の天板スペースで作業できるようにすること、そのため機器を小型化し奥行きを縮めることが重要なポイントでした。天板の奥行きは狭いもので200mmほどであったため、機器がこの寸法に収まることを目標に開発が進められました。当初より設計とデザインが協力、薬袋搬送部と操作パネルを合わせた最小限の奥行きで内部機構も収めることにこだわって検討し、結果として機器奥行は130mm以下となり余裕をもって天板に置くことができるようになりました。

使いやすさ・出し入れのしやすさにこだわる
調剤薬局での薬包を綴じる作業は介護施設への付加サービスとして行っていることもあり、作業は週に1~2度ほどにまとめて行うところが多いようでした。 薬包綴じ機を使用している薬局では、使用するときにだけ機器を出して、使い終えたら片づけていました。
従来の薬包綴じ機はフットペダルを踏んで薬包の送り操作を行う方式でした。
フットペダルを使えば両手を薬包送り操作に使える利点があります。
一方で本体と合わせて設置する手間がかかり、片づけの際には床に置いたフットペダルを持ち上げて収納する必要があるなど、作業性や衛生面に課題がありました。
そこで今回の製品ではフットペダルを使わずに操作できることを目指しました。
上面の操作パネルだけでも使いやすいように、デザイナーたちがプロトタイプを何度も操作しながら検討を重ね、操作パネルの配置やキーの数、用語を細かく見直しました。その結果、フットペダルなしでも快適に操作できる操作性を実現しています。(なお、フットペダル操作を好まれる方のために、従来どおりフットペダルによる操作にも対応しています。)

置かれる空間に調和する
製品の外観は、調剤薬局に設置される機器として違和感なく使用できるよう清潔感のある白を基調としています。 薬包を置いて搬送する部分は、ひと目で搬送部と分かるように黒色としました。黒色にすることで薬包の端部がはっきり見え、薬包のセット作業がしやすくなっています。また薬包から薬が漏れている場合も素早く気づくことができます。さらに、外観の形状は埃がたまりにくく清掃しやすいよう、できるだけ凹凸を少なくしています。
これからも「はたらく人」のために
エトリアをはじめとするリコーグループでは、超高齢化社会においても皆様が安心して過ごせる製品を世の中に届けることを目指しています。リコーデザインでは、これからもさまざまな場所ではたらく人が、より快適に働けるような製品開発に取り組んでいきます。

幸田 駿助
プロダクトデザイナー。ゲームや写真撮影が趣味。 今回のような卓上機器から、大型の商用印刷機など、さまざまな領域の製品に取り組んでいる。