2025/12/15
「ようこそ」を丁寧に届けたい
去る2025年4月1日、株式会社リコーの入社式が大森本社にて執り行われました。
この日は、新入社員の皆さんには社会人としての最初の一日という重要な節目です。会社にとっても新たな仲間を迎える特別な日です。そんな貴重な一日を「はたらく体験」の第一歩として心に残るものにしたいと、人事総務部が中心になって企画プロジェクトを立ち上げました。
新入社員の皆さんが「リコーの一員としてあたたかく迎えられた」と心から体感してもらえることを、私たちは大切にしたいと考えました。その想いをかたちにするために、人事総務部とデザインチーム、外部パートナー企業様との連携により、社内外が一体となったチームで企画・準備を進めました。
新入社員視点の体感コンセプト「UNITE」
最初に取り組んだのがコンセプトづくりです。ここ数年の新入社員へのヒアリングを通じて、新入社員は、コロナ禍で学校の仲間とバラバラになりがちな学生生活を経て入社していることがわかりました。そのインサイトをもとにプロジェクトチームのメンバーそれぞれが新入社員視点でアイデアを出し合い、最終的に「UNITE」というコンセプトにまとめました。前述のような学生時代を過ごした新入社員の皆さんに、会社や同期との「つながり」や「一体感」を体感できる式を贈りたいという想いを込めています。
「UNITE」は、入社式の施策の設計や意思判断の指針になりました。どんな演出がよいか、どう進行するかなど、調整事項も多く意見が分かれる場面もありました。そんな時「この選択はUNITEに沿っているか・どうしたらよりUNITEを体感してもらえるか」という視点で判断することができ、プロジェクト全体の軸として上手く機能しました。
例えば「ウェルカムロード」。エントランスから入社式会場のホールまで、新入社員を先輩社員みんなで拍手で出迎えるという演出です。「ようこそ」の気持ちを直接伝えることで、新入社員とリコーの先輩社員が共に「一体感」を感じてもらえる大事な時間です。どれだけの先輩社員が参加してくれるかは未知数でしたが、当日は多くの先輩社員が集まり、新入社員の皆さんに「ウェルカムの思いが強く伝わった!」と言われるほど大変盛り上がりました。体感コンセプトに多くの先輩社員が共感してくれたのだと思います。
もう一例は「テーマトーク」。新入社員とリコーの役員が車座となり、共に「一体感」を感じながら語り合う時間を設けました。役員への事前説明の際にも、新入社員視点のコンセプトを添えながら丁寧に伝えることを意識しました。
「歓迎の場」を表現するサイネージや空間デザイン
会場全体で統一された世界観を新入社員の皆さんに感じとっていただけるように、サイネージや案内表示のデザインも丁寧に設計しました。
スクリーンに映し出されるサイネージは、式次第のデザインをベースに、ブランドカラーを取り入れつつ、ゆっくりとしたアニメーションを加えることで、落ち着きのある雰囲気を演出しています。
立て看板や案内表示なども含めて、色味・フォント・言葉のトーンをそろえることで、「歓迎する場」としての印象の一貫性を図りました。
こうした細やかな工夫の積み重ねが、会場全体に統一された世界観をつくり出すことにつながったと感じています。
「世界で1つだけ」の式次第
企業理念「リコーウェイ」の「7つの価値観」をモチーフにした7種類の表紙デザインを用意し、新入社員1人1人の名前を印字した世界で1つだけの式次第をつくりました。
外部パートナー企業である印刷会社のご協力をいただき、RICOH Pro C7200Sを用いて印刷しました。表紙には特殊な印刷技術であるクリアトナーを用い、光沢感や肌ざわりに変化を与えました。手に取った際に「おっ」とリコーの技術に気づいてもらいたいという想いを込めています。
式次第の構成は、表紙の世界観に合わせてトーンを揃えつつ、式の流れやメッセージが自然に伝わるよう整理しました。
人事総務部の「届けたい気持ち」、デザインの「かたちにする力」、そして外部パートナー企業様の「技術力」(リコー製品の活用)が融合した一冊に仕上がっています。
「同期に気付く」ネックストラップ
「今日からリコーの一員になる」という感覚を後押しし、入社式のあとも「UNITE」を継続して体感してもらえるように、ネックストラップをデザインしました。
2025年度入社の皆さんだけの特別なデザインです。社内ですれ違った際に、すぐに同期だと気付き、自然と連帯感が生まれるよう工夫しています。
表面には「リコーロゴ」と「2025」の文字を印字し、裏面には淡い色調で「創業の精神」である「三愛精神」を記載しています。リコー社員としての使命に共感してもらいたい、という想いを込めています。
想いを共有して、一つのかたちに
このように「UNITE」というコンセプトを最初に定め、「新入社員がどう感じるか・どう受け取るか」を常に想像しながらあらゆる判断を行い、「どんなトーンで表現するか・どのようにメッセージを伝えるか」といった具体的な表現方法の検討を重ね、企画を立案し制作を行いました。判断に迷ったときに立ち返る「軸」を持つことで、チーム全体の行動と判断に一貫性が生まれました。
入社式を通じて、新入社員の一人ひとりに「歓迎されている」と体感してもらうことができれば、私たちにとってこれ以上のよろこびはありません。
新入社員の声
新入社員の皆さんからは、以下のコメントをいただいています。(終了後アンケートより原文のまま抜粋)
「一人ひとりを大切にした、思い出に残る入社式でした」
「いよいよリコーの社員になったというような感じがして、とてもよかったです」
「鮮やかに印刷された式次第に名前が記載されており、入社式の良い記念となった」
「私たちのために考えられてる素晴らしいデザインで感動しました」
これからも「歓迎する気持ち」が伝わる場づくりを
入社式の体感デザインは、毎年継続的な改善を重ねて現在に至ります。
今後も引き続き、新入社員の体験・体感を軸とした「歓迎する気持ちが伝わる入社式」を目指し、継続・発展させていけたらと思います。
プロダクションプリンター、複合機、ヘルスケア事業、ファシリティマネジメント領域など、さまざまな領域でUX/UIデザインに携わる。
筋トレとコーヒーが好き。