2023/02/02
― ポートフォリオの制作は粘り強く
私が就職活動をはじめたタイミングは学部3年の6月からです。大学から複数社の夏季インターンシップ募集の広報があり、そのインターンシップにエントリーするためにポートフォリオの制作を始めました。
夏季にインターンシップを開催する企業にエントリーするためには、この時点である程度ポートフォリオを形にしておく必要があったため、クオリティは置いといて、とにかく完成させよう!という思いで制作していました。
ここから何度もブラッシュアップを重ねて、次の年の4月まで制作を続けていきました。
― 恥じらいを捨ててとにかく見てもらう
ポートフォリオ制作では、とにかくたくさんの人に見てもらい、感想を聞くことを大事にしていました。大学の教授や友人、先輩、後輩、家族にはもちろん、インターンシップや説明会で関わりのあった方々にも、都度ポートフォリオを見てもらい感想を聞きました。
伝えたいことが伝わっているか、が大事なので人に見せることを臆せずに行うよう、自分に言い聞かせてましたね。 ポートフォリオは見せたもの勝ちだと思います。
― メーカーのデザイン実習の経験
リコーではない複数のメーカーのデザイン実習に参加しました。
参加したデザイン実習は個人作業で、5日間の期間中に作品を創り上げ、プレゼンテーションを行うという内容でした。このような短い期間で作品を創り上げることは私にとって初めての経験でした。普段の大学講義で行う制作では、1か月や2か月かけて作品を創る内容が多かったため、デザイン作品はそのくらいの期間をかけて創るものだという固定観念がありましたが、このインターンシップに参加したことで考えが変わりました。
普段味わえないスピード感や緊張感の下での制作は非常に刺激的で、多くのことを学べました。
― きっかけ
リコーとの出会いは、12月に大学向けに行われた説明会です。デザイン実習の参加先にはリコーの競合企業も含まれていたこともあり、もともとリコーには興味がありました。
ただ、当時はコロナ禍になったばかりで、リコーでデザイナーの新卒の選考が行えるかは、はっきりとは分からないとのことでした。
その後、実際に新卒募集が行われると私が知ったのは4月です。
― 慌ててエントリー
リコーのデザイナー選考は例年4月に本選考のエントリー締切があります。当時、私が新卒募集に気づいたタイミングは締め切りから1週間ほど前のギリギリのタイミングでした。
「エントリー締切まで今から書類やポートフォリオなど準備して、間に合うかな!?」と思いましたが、ここはチャレンジしなければという思いでエントリーしました。
― 慌ててポートフォリオ再編集
書類選考にエントリーする際、ポートフォリオの提出が求められるのですが、枚数制限がありました。その制限に合わせて自分のポートフォリオを再編集する必要があり、そのための作業時間は一週間しかなかったので慌てましたね。
― SPIでも慌てる
書類の提出後、SPIの提出が求められたのですが、当時私が住んでいた北海道函館市にはテストセンターがなく、一番近いところで札幌市でした。片道4時間の道のりです。また、テストセンターも混む時期でしたので、のんびりしていたら受験の枠を逃していたかもしれません。
ぜひ、余裕を持った行動を心掛けてください。
― デザイン実習 制作期間はたったの1日!?
無事に書類選考、SPIを通過し、デザイン実習に参加できることになりました。
リコーでは、デザイン実習という形で1日で課題に対するアウトプットを作成し、2日目にプレゼンテーションを行うという課題があります。 私がこれまで参加してきた他社のインターンシップでは、1日目にアイデア出し、2日目にアイデア深堀り、3日目にラフなデザイン制作、4日目に完成、5日目にプレゼンテーションといった流れでした。
そのため、1日で行うリコーデザイン実習で求められるアウトプットのレベルとしては、できてラフスケッチ程度だろうと勝手に思い込んでました。しかし、いざ始まってみると、求められるアウトプットのレベルは5日間で行われるインターンシップとそう変わりなかったのです。
「いや、一日しかないじゃん!そこまで求めるの!」と無謀な課題を与えられた気がしました。
1時間の重みが他社のインターンとは比にならないほどでした。
― 1日で作品を創り切るために
1分1秒無駄にできないデザイン実習なので、悩んでいる暇はなく、これまでの経験値をフル活用しました。 制作で大事にしたことは、
・初めに作業の時間配分を決め、何時にどこまで行うかを明確にする
・「誰に」「どう使われ」「どんな効果をもたらすか」を明確にデザインする
・ペルソナを特定の1人にまで限定してターゲットの条件設定を絞る
・制作する作品のデザインで大事にしたことを言語化する
この4点です。
これらのことを大事にしようと思えたのは、それまでのインターンシップなどの短期制作の経験からです。
― プレゼンテーション
2日目には、1日目に制作した作品とポートフォリオのプレゼンテーションを行いました。1日目の終わりには、やれるだけのことはやったと思えたので、2日目はすごく冷静でいられました。
プレゼンテーションでは、作品のバックグラウンドからコンセプト、アウトプットまで、ロジックに矛盾がないように設計し、そこに自身が大事にするデザインを乗せて伝えるられたことが良かったと思っています。
― デザインからの解放感
デザイン実習の後日、マッチング成立との連絡をいただきました。その時に、採用担当の方からもらった「残りの学生生活を思う存分満喫してください。」という言葉で、ここまでずっと張りつめていた緊張感が解けました。
自分の学んできたデザインが、採用されるまでのレベルに達したのだと思い、そこから入社までにすべきことは、デザインの分野に縛られることなく、好きなことをとことん楽しむことにしようと決めました。
就職が決まったら学ぼうと思っていたお金の勉強を始めたり、ジムに通い始めたり、函館市のカフェ巡りを始めたりしました。そして、卒業研究へも集中するようになりました。
こうして、私のリコーへの就職活動はひと段落です。
― 本当に内定したのだと実感がわいてくる
内定式はリモートで実施され、ここで初めて同期との顔合わせができました。
自己紹介や交流を深めるワークショップなどを行いながら、少しずつ、内定したんだなと実感が湧きました。
ここから少しずつ入社にあたって必要な書類の準備や、事前学習課題などを行っていくことになります。
― 晴れ晴れとした気持ちで卒業
卒業論文も完成し、単位を取りこぼすこともなく、無事に大学を卒業できました。
大学に未練なく、晴れ晴れしい気持ちでした。
これからは、地に足をついて根気よくデザインに向き合っていこうと心に決めました。
― 入社式の様子は生配信
リコーの入社式は対面で行われました。
社長と1対1でお話しする場があり、社長へ自己紹介と今の気持ちなどを伝えました。
この入社式はネット上で生配信するという試みがなされており、我が家でも、入社式の様子を見ることができたため、両親は大変喜んでいました。
― デザイナーとして一歩を踏み出す
入社後の1,2か月で全体研修が行われ、全体研修を終えたのち、総合デザインセンターに配属となります。
配属初日は、自己紹介から始まりました。総合デザインセンターの皆さんは温かく迎えてくれました。
― おわりに
こうして私はリコーの新人デザイナーとなりました。私にとって就職活動はつらかったですし、不安なことだらけでしたが、こうして振り返ってみると良い経験です。就職活動に真剣に取り組んできてよかったと思います。
リコーに入社してからは、毎日学ぶことだらけで慌ただしい日常を過ごしています。その分、リコーにはデザイナーとして成長できる環境が整っており、背中を後押してくれる方がたくさんいます。
これからも、どんどん新しいことにチャレンジしていきたいと思います。