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医療現場に寄り添うデザイン

2021/11/10

 
RICOH MEG

脳磁計測システム RICOH MEG
脳磁計測システム「RICOH MEG」は、脳の活動で発生する微弱な磁場を痛みや苦痛を伴わずに計測し、脳内の神経活動を可視化します。形状を計測するMRI とは違い、活動を計測することで得られる脳磁図から脳神経活動を解析することで、脳神経内科や脳神経外科、精神科などで活用されています。臨床現場での計測/解析プロセスを基に最適化されたソフトウェアにより、医療に貢献します。また、研究用医療機器として複雑な脳機能の解明や応用研究分野など、多くの領域で活用可能です。
発売日:2018年7月9日
商品紹介ページ

医療従事者の負担を軽減し、解析効率を改善するデザイン

RICOH MEGの解析ワークステーション

従来機種ではいくつものモニターを使って各種情報の表示や操作を行う構成になっていました。そのため臨床検査技師の視線移動や頭部の動きが多く発生し、マウスポインターの位置を見失うこともしばしばありました。
RICOH MEGの解析ワークステーションでは、これを1モニターにまとめ、眼球運動だけで瞬時に情報が得られる「有効視野」の範囲に情報を統合。これにより臨床検査技師の身体的負担を軽減しています。

RICOH MEGの画面構成

RICOH MEGの画面構成は、医師や臨床検査技師の所見に至る思考過程をデザインレイアウトに反映しています。
(A)は、磁場波形や脳波など、多くの波形をタイムライン上に表示しています。臨床検査技師は疑わしき波形を見つけると、その箇所をクリックして選択します。
(B)は、選択されたタイムライン上の時刻の磁場波形を拡大表示し、より詳細な解析を行います。
(C)は、選択されたタイムライン上の時刻の磁場と電流活動を、頭部の図に青と赤の等高線で表示し、下部のMRI画像にその活動源を表示します。
(D)は、選択されたタイムライン上の時刻の患者映像と、気付きとして書き残したアノテーションをリスト表示します。
RICOH MEGでは、(A)~(D)の表示は常時連動しており、波形を選択することでその瞬間の脳活動を多様な視点で可視化することができます。表示は医師や臨床検査技師の思考の流れに沿って、左から右へシームレスに流れます。これらの工夫の結果、解析時間を軽減し、臨床検査技師の業務効率を圧倒的に改善します。

アノテーション付与のUI

臨床現場では、臨床検査技師が脳活動の波形を解析し、疑わしき波形があれば、それをメモに書き残し医師に伝えます。従来機種を使用している臨床検査技師は、このメモを残すのに紙のノートを使用していました。
RICOH MEGでは、脳活動に対する気づきをアノテーションとして1クリックで波形に紐づけて記録できるようにしました。こうすることで脳磁計で計測した情報を医療従事者の間で迅速・確実に伝えることが可能になりました。

開発は手探りからのスタート

篠原道成

2016年、リコーは横河電機からの事業譲渡により脳磁計事業をはじめました。当時、ヘルスケア分野はリコーとしては未知の領域。リコー出身の開発関係者は医療機器開発の経験値がなく、脳磁計にどのような機能が必要なのか、どのような表示をすれば有用な脳磁図となるかといった知見がありせんでした。
この商品の担当デザイナーに任命された篠原 道成もまた、そのような問題に直面していたひとりでした。コンシューマー商品やオフィス商品の開発では確かな実績と経験があるものの、医療現場向けの機器など触ったこともなければ詳しく見ることもない。そのような状況でも、篠原は期待感でいっぱいだったと言います。「それまでオフィス商品でお客様のビジネスに貢献する商品をデザインしてきましたが、医療機器を通じて、患者さまのQOLにデザインで貢献できる。そう考えるとわくわくしました(篠原)」
この商品の企画担当者も兼務することになった篠原は、医療現場のニーズや隠されたウォンツを見つけて課題を明らかにするために、現場の観察や関係者へのインタビューを行うことから始めました。こういった活動では現場の医療従事者の協力は不可欠です。開発に協力いただいた東北大学病院には、アカデミック・サイエンス・ユニット(*1)という医療分野にデザイン思考を取り入れて現場観察を通じたニーズ探索・開発を支援する制度があり、リコーのやりたいことと合致していました。篠原はじめリコーの開発関係者はこの制度に参加。こうして、デザイン思考を活用した開発がスタートしました。

*1 Academic Science Unit (ASU):https://www.asu.crieto.hosp.tohoku.ac.jp/about/

医療従事者との信頼関係をつくる

医者や患者を演じる様子

とはいえ、医療従事者とのコミュニケーションが最初からスムーズにできたわけではありませでした。「医師は多忙で、むやみに話しかけられず、最初はどのように人間関係を築けばよいか悩みました(篠原)」
現場の状況を理解し、観察やインタビューから気づきを得るには、その分野の基礎的な知識・情報が必要です。機器だけでなく、脳磁計で臨床診断される病気「てんかん」についても学びました。そうすることで次第に医療従事者とスムーズにコミュニケーションできるようになり、信頼関係も構築していきました。
また医療従事者に共感するには、自分が実際にその機器を使うことを想像し役割を憑依させる、そのために医者の役割を演じてみることも大切と感じるようになりました。そうして操作や解析を自分たちで体験し、計測の被験者にもなってみて、そこから生まれた疑問や仮説をもとに医療従事者と意見交換しました。とはいえ、所詮は演じているだけの医者。分からないことがあったら素直に聞くことも大切です。勝手な想像や決めつけで進めてしまうと、現場の理解を得ることができなくなるからです。

課題の明確化でチームを1つにまとめる

医療従事者と患者のカスタマージャーニーマップ

現場観察やヒアリングにより収集した情報をもとに、篠原は社内でワークショップを主催し開発関係者とともにカスタマージャーニーマップを作成。誰がいつどんな行動をしているか、作業プロセスと役割分担を明らかにし、気づきや登場人物の感情を書き加えています。 このように機器の使用現場を可視化したマップを共創し、「ここが現場の痛みのポイント」という仮説を皆で確認し課題を明確化することで、どこに注力して開発すればよいかが一目瞭然になります。忙しい医師の先生ともマップを見てもらいながら意見交換することができ、意思疎通を円滑に行うことができました。
篠原は企画担当者として、現場の足かせになっている事象を課題化し、企画仕様に反映。そしてデザインにも反映していきました。

モノを見せて現場の意見を引き出す

デザイン案を説明する篠原

課題解決のためのアイデアを展開し、そのアイデアを形にします。篠原はここで医師にスケッチを見せて、意見を引き出します。
忙しい医師とコミュニケーションできる時間は限られています。その短い対話時間で最大の効果を得るために、アイデアスケッチを使った議論は有効でした。具体的なアイデアを視覚的に見せることで先生も乗ってきて、参考になる意見をたくさん頂けました。このように、どうすれば効率的に意見を引き出すかを考え、工夫しました(篠原)」

現場の文化を取り入れて違和感をなくす

UIの背景色

RICOH MEGには、現場に配慮した細かな工夫が隠されています。例えば脳活動の波形は白い背景に表示していますが、正確にはペーパーホワイト、つまり生成りのような紙の色を再現しています。これは、過去に計測結果を紙に出力して波形を確認していたことを踏まえたものです。
一方で脳活動のマッピングやMRI画像の背景は濃いグレー。これは暗室でMRI画像を見る環境を再現したものです。医師の人たちは頭の画像を暗い部屋で黒背景の上に白く映る見ている、その状況を表現しています。 このように使い手が培ってきた文化や環境を汲み取り、慣れ親しんだ要素を採用することで、現場に馴染むデザインとしています。
他にも、医療従事者の業務のしやすさに寄与するこだわりがつまったRICOH MEGの操作画面。この商品が生み出された背景には、医療従事者の皆さんの協力と、開発関係者の一体感、それらを引き出すためデザイン思考を活用した篠原の熱意がありました。

 
篠原近影

篠原 道成

UXデザイナー。

BtoB、BtoCの新規案件について、

20以上の商品やサービスのデザインに関わる。

ヘルスケア分野のUI/UXデザインでは商品企画も兼務。

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