職人技を活かした最高峰のカメラ

2017/09/14

 
This is こだわり 「職人技を活かした最高峰のカメラ」
羽賀正明 プロダクトデザイナー: 総合デザインセンター
存在感のあるフラグシップ機
ペンタックスで初めての35mmフルサイズセンサー機K-1。写真家やハイアマチュア向けの最高位機種である。羽賀は 「あっ、 あれね」 とすぐわかるような存在感のあるカメラにしたかった。新しさと昔ながらの愛着を感じるデザイン、あえてトレンドを追わない、どの世代にも受け入れられる普遍性のある カメラを。羽賀がカメラデザインにおいて、最も大切にしていることは、造型バランスと生産性だ。「カメラは工芸品やアートではない、生産性の足をひっぱらない工業製品」。カメラデザイン26年の羽 賀は職人のようにペンタックスのフラグシップ機となるK-1を作りこんだ。
様々な角度から観察
一方、羽賀は普段、アート作品や彫刻からインスピレーションを受ける。作品を様々な角度から徹底的に見る。「光の当たり方によって偶然見えた光沢や影が新鮮な刺激を与えてくれる。これをカメラデザ インに応用できないか」。生産性を重視した工業製品でありながらも、新しさや存在感を兼ね備えたデザインにしたいと常に思っている。また、子供のころは 「ミニカーを50台くらい並べてずっと見ているのが好きだった。車の絵も細部までこだわって描いていた」 と昔を思い出しながら楽しそうに羽賀は言う。遠くから、通りすぎる車を見ても車種を当てられるほどだった。羽賀の造型へのこだわりは、幼少期からじっくりモノを見ることで培われてきたのだ。そしてもう一つの源は、以前の会社でのオートバイデザインの経験だ。 「オートバイが風を切って走っているシーンを想像してデザインしていた」。造形バランスを考えたこだわりは、幼少期の趣味を経て現在に至るまで極め続けている。
極上のフィット感
今回、羽賀が特にこだわって作りこんだのは、PENTAXロゴ上頭部をペンタプリズムの三角形で表現したこと。フィルムカメラの威厳もありつつ愛着のあるトラディショナルな存在感だ。そしてPENTAXのロゴが載る前面は単なる平面とせず円筒面とすることにより、ハリのある面に仕上げ先進感を出した。 遠くから見てもカメラ愛好家なら「ペンタックスだ」 「K-1だ」 とすぐわかるアイデンティティーとなるカメラになった。もう一つはカメラとして大事なグリップだ。 どのグリップ形状がよいのか、いくつもサンプルを作り評価を重ね、 様々な撮影環境においても使用者をアシストするベストな形状を作り上げた。「手袋をしている時や雨で濡れている時でも、撮りたいシーンに出会ったらすぐにカメラを構えられるようグリップの中指へのえぐり形状を深くして、瞬時にしっかりと持てるように配慮しました。またグリップ前側の指が当たる各部分とその周辺形状をコンマ数mm単位で膨らませたり削ったりすることで、 どんなときでも手に馴染んで安定したホールド感を得られるようにしました」。 一見気づきにくいが、 グリップの細部の凹凸が指にしっかりと引っ掛かり手の平に心地良くフィットする。 羽賀の今までの経験や職人のような感覚がこのグリップに集約されているのだ。
記憶に残したい写真はカメラで撮ってほしい
「カメラデザインは自分でデザインした商品を買うことができるのが醍醐味。 また、すぐに雑誌やインターネットなどからクチコミの評価を得ることができる。良くても悪くても、感想がダイレクトに把握できることはとてもやりがいを感じる」。羽賀のカメラデザインへの誠意と実直さが伝わってくる。「お客様にはK-1を様々なところに持ち歩いて、たくさん写真を撮って欲しい。 特に、 ペンタックスブルー/グリーンを感じてもらえる風景写真はオススメです」。 そして羽賀自身も 「防塵防滴、-10°Cまでの環境においても撮影できるので、雪景色や流氷を撮ってみたい。 雪や氷に映る影がブルーになる光景をK-1で撮ってみたい」と語る。昨今、スマートフォンで写真を撮る人が増えている中、羽賀に今後のカメラの役割を訊いてみた。「普段の記録用としてはスマートフォンでいいと思う。 ただ、 記憶に残したいシーンや、大切に残したい写真は、是非カメラを使って撮ってほしい。そして、カメラで撮るとやっぱりいいよね、と感じてもらいたい。それがペンタックスのカメラだったら、とてもうれしい」。この想いが、 お客様に届くことを願いたい。
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